日本薬理学雑誌
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Omeprazole 及び Famotidine の家兎胃(H+-K+)ATPase並びに分離胃底腺における酸分泌に対する作用
友井 正明伊藤 立信上田 幸代小野 隆治柴山 文男
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1988 年 92 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

抗潰蕩薬 omeprazole の胃粘膜(H+-K+)ATPase 及び分離胃底腺における酸分泌に対する作用を家兎を用い検討し,またこれらに対する作用をヒスタミンH2受容体拮抗薬の famotidine と比較した.家兎胃粘膜から調製した(H+-K+)ATPase の至適測定条件は,従来のブタでの報告とは若干異なり pH7.0,2mM MgCl2及び50mM KClであった.omeprazole は,濃度依存的に本酵素に対し阻害作用を示し IC50 値は4.2μMとなったが,famoddine は最高濃度の100μMでも本酵素に対し,殆ど影響を与えなかった.分離胃底腺における酸分泌の測定は,14C-アミノピリン蓄積法により行った.ヒスタミン刺激の酸分泌に対し,omeprazole及びfamotidineはほぼ同等の抑制作用を示し,いずれもIC50値は0.35μMであった.しかし,dibutyryl cyclic AMP 刺激の酸分泌に対して,omeprazoleは抑制作用を示したが,famotidineは最高濃度の100μMにおいても抑制作用を示さなかった.このように酸分泌抑制に対する両薬剤の反応性の相違は,(H+-K+)ATPaseが酸分泌の最終過程に関与しているためである.以上のことから,omeprazoleも消化性潰瘍の治療に有用な役割を果たす薬剤であると考えられる.

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