日本薬理学雑誌
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急性四塩化炭素肝障害ラットにおける KZ-1026 の予防作用;組織化学,酵素組織化学並びに超微細構造的検討
小林 正彦高橋 武男田口 和博平山 幸夫土田 園子山木 得生矢野 光夫内田 俊和
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1989 年 93 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

ラットの急性四塩化炭素(CCl4)肝障害に対する KZ-1026 の予防効果とその特徴について,組織学的,酵素組織化学的並びに超微細構造学的に検討した.KZ-1026 非投与群では50% CCl4(2ml/kg)の腹腔内単回投与の3時間後には中心帯肝細胞の RNA,グリコーゲン及び酵素活性の低下と共に微細構造の変化が生じた.この肝細胞障害は経時的に増大し,7時間後には風船様細胞が中間帯に限定して多数出現し,24時間後にはこれが壊死に向かった.KZ-1026(200mg/kg)投与群はいずれもCCl4投与の24時間後に屠殺し,観察した.KZ-1026をCCl4投与の24時間前に単回投与すると肝障害の発症はほぼ完全に阻止されたのに対し,4時間前に投与すると中心帯に弱い染色性の異常が出現した.しかし微細構造と細胞機能の障害並びに風船様細胞の形成は認められなかった。一方 KZ-1026 を CCl4 と同時又はその3時間後に投与すると予防効果が減少し,3時間後投与時の効果が最も弱かった.KZ-1026 は CCl4 投与による肝のグリコーゲン,RNA 並びに Mg2+-ATPase 活性の減少を選択的に抑制し,特に RNA 減少に対する予防効果が最も顕著であった.

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