日本薬理学雑誌
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頻尿改善剤 Propiverine hydrochloride のイヌの生体位膀胱機能に対する作用
金子 茂春野 明弘鈴木 則彦北里 健二山崎 泰英永井 正則入來 正躬土屋 勝彦小坂 光男
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1989 年 93 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

新しいベンジル酸誘導体である propiverine hydrochloride(P-4)のイヌの生体位膀胱機能に対する作用について頻尿改善剤である flavoxate と比較検討した.麻酔下のシストメトログラムにおいてP-4(4mg/kg,i.v.)は最大膀胱容量の有意な増加を示した.同様な有意増加は verapamil(1mg/kg,i.v.)でも観察された.一方,flavoxate(4mg/kg,i.v.)は最大膀胱容量の有意な変化を示さなかった.麻酔下イヌの膀胱内に留置したバルーンに適度な内圧を加えた際に惹起される律動的膀胱収縮に対してP-4は1mg/kg,i.v.より収縮頻度の有意な減少を示したが,flavoxate は 4mg/kg,i.v.ではじめて同様な作用を示した.この様に,P-4 は flavoxate より優れた生体位膀胱における排尿運動抑制作用を示したことから,頻尿改善剤としての有用性が期待される.

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