日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
MK-0521 の In vivo における Angiotensin 変換酵素阻害作用および2腎性 Goldblatt 型高血圧犬における単回投与による降圧作用と Renin-angiotensin 系に対する作用
織田 実猪 好孝鈴木 邦彦佐藤 拓夫岩本 里美岩城 正廣
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 93 巻 4 号 p. 225-234

詳細
抄録

MK-0521のイヌにおける angiotensin 変換酵素阻害作用および2腎性 Goldblatt 型高血圧犬における単回投与による降圧作用を検討し,captopril および MK-421 と比較すると共に,併せて renin-angiotensin-aldosterone 系に対する作用を検討した.MK-0521 は静脈内投与(0.001~0.1mg/kg)および経口投与(0.01~1mg/kg)のいずれにおいても用量依存的に angiotensin I の昇圧作用を抑制し,bradykinin の降圧作用を増強したが,angiotensin IIの昇圧作用に対しては影響を与えなかった.MK-0521 の angiotensin I 昇圧抑制作用は,静脈内投与の場合,captopril より9.8倍強く,経口投与の場合,captopril より15.9~32.1倍,MK-421 より約3倍いずれも強かった.経ロ投与によるMK-0521の作用発現時間および最大作用発現時間は共にMK-421より早く,captoprilより緩徐であった.また,作用の持続は captopril より長く,MK-421 と同等ないし長かった.これらの変化は血中濃度の時間経過と密接に相関していた.2腎性 Golblatt 型高血圧犬において,MK-0521 は0.3mg/kg以上の経口投与で用量依存的な降圧作用を示した.その際,心拍数には明らかな影響を及ぼさなかった.MK-0521 の降圧作用は持続的で,最大降圧作用で比較するとcaptopril より約3倍強かった.また,血清 angiotensin 変換酵素活性を抑制し,血漿 renin 活性を上昇させ,血漿 aldosterone 濃度に対しては減少傾向を示した.これらの変化は降圧作用の時間経過と良く並行した.以上の成績より,MK-0521の降圧作用は主に angiotensin 変換酵素阻害による angiotensin II 生成の抑制によって引き起こされることが明らかとなった.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top