日本薬理学雑誌
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Thienothiazine 系誘導体のラットにおける抗炎症,鎮痛,潰瘍惹起作用並びに In vitro Prostaglandin 生合成阻害作用における構造活性相関
田中 雄四郎檜森 憲夫
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1989 年 94 巻 1 号 p. 61-71

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抄録

tenoxicam を含む thienothiazine 系誘導体20化合物の抗炎症,鎮痛作用,prostaglandin 生合成阻害作用及び,潰瘍惹起作用の評価試験を行ない,その構造活性相関についての検討を行なった.その結果,(1)thiophene ring の6位に -Cl または -CF33の導入によりその作用が増大したが-OHの導入によりむしろ減弱する.(2)thiazine ring の4位に -OH または ester 結合の導入は活性増強をもたらすが,ether 結合や amide 結合の導入は,その効力を減弱させる.(3)carboxamide 側鎖には2-aminopyridyl 基が必須であり,その活性は5位への -OH 基の導入(5-hydroxy-2-aminopyridyl)で著しく減弱される,(4)抗炎症作用,鎮痛作用及び prostaglandin 生合成阻害作用の3試験系間で各々非常に高い相関性が得られたのに対し,潰瘍惹起作用と,抗炎症作用並びに鎮痛作用との間の相関性は低かった.また,これら化合物の安全係数(潰瘍惹起作用 UD50/抗カラゲニン足浮腫作用 ED30 または抗熱湯性足浮腫疼痛作用 ED30)を求めたところ,特に tenoxicam は高値を示し,実験動物モデルにおいてのみならず臨床の場においても安全性が優れていることと一致した.

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