日本薬理学雑誌
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ラット脳の神経終末膜電位に対するエタノールの効果
栗尾 和佐子福永 玲子稲垣 千代子
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1989 年 94 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

ラット脳の神経終末膜電位を rhodamine 6G 螢光法により測定し,これに対するエタノールの効果を検討した.神経終末膜電位は,0.8~1.6%以上のエタノールにより脱分極した,この脱分極はK+チャンネル阻害剤である 4-aminopyridine(4-AP)または反応液の Cl- の gluconate-置換(gluconate-反応液)により増強されたが,tetrodotoxin,反応液 Na+ の choline+ 置換,NH4Cl,picrotoxin,ethacrynic acid,furosemlde または反応液 Cl- の SCN- 置換により影響を受けなかった.4-APによるエタノール脱分極の増強は Cl- 反応液および gluconate-反応液で観察されたが,SCN- 反応液では認められなかった.これらの結果から,エタノールは K+ チャンネルを介するアニオン依存性の K+ 拡散を阻害することにより,神経終末膜電位を持続的に脱分極させると考えられる.

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