日本薬理学雑誌
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ラットのアレルギー性足浮腫反応に対するKP-136の作用
肥山 良之栗山 澄
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1990 年 95 巻 3 号 p. 83-90

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抄録

I型アレルギー反応抑制物質であるKP-136の薬理特性をラット足浮腫モデルを用いて検討した.KP-136 (p.o.) は3種の即時型アレルギー反応と遅延型アレルギー反応の4種のモデルで, 肥満細胞介在性のI型アレルギー反応 (ID30値 : 1.0mg/kg) と好中球浸潤性の受身Arthus反応 (ID30値 : 1.6mg/kg) に対して強い抑制効果を示した.また, KP-136 (10mg/kg, 50mg/kg, p.o.) はラットadjuvant関節炎の骨組織障害を抑制し, 組織障害性のアレルギー性炎症反応にも有効であることを確認した.KP-136は, カラゲニン浮腫反応やプロスタグランジン生合成および補体溶血反応に対する作用は弱かったが, 受身Arthus反応においてβ-グルクロニダーゼやリゾチームのようなライソゾーム酵素の遊離を阻害し, その作用機序として起炎物質の遊離阻害が示唆された.

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