日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
Ca拮抗薬AEOO47の脳血管拡張作用に関する検討―Endothelinによる血管収縮に対する寛解および予防効果―
木戸 秀明内田 康美中村 文隆杉本 恒明
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 95 巻 4 号 p. 177-184

詳細
抄録

緩徐かつ持効性の降圧作用を有する新規Ca拮抗薬AEOO47の脳血管拡張作用を麻酔イヌを用いて脳血管造影により検討した.AEOO47を30μglkgの濃度で静脈内投与することにより,椎骨動脈血流量は投与10,30および60分後にそれぞれ投与前に比し91,139および132%増加し,その作用は60分以降も持続した.このとき脳支配領域(脳底動脈・後交通動脈・中大脳動脈・内頸動脈)の血管径は部位の区別なく投与後10~60分間を通じておよそ30%拡張した.endothelin100pmol/kgを椎骨動脈内に注入すると,脳の細動脈血管が収縮し血流の減少をみたが,AEOO47静脈内投与により脳血流量ならびに脳血管径は有意に増大した.さらにAEOO47前投与下ではendothelinによる脳細動脈の収縮は予防された.以上のことから,AEOO47は脳血管に対して強力かつ持効性の拡張作用を有し,脳血管攣縮を寛解あるいは予防する可能性があると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top