日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
Enkephalin誘導体EK-399のラットにおける弁別刺激効果
西田 信之安原 吉高千葉 祐広
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 97 巻 6 号 p. 361-369

詳細
抄録

強力な鎮痛活性を有するenkephalin誘導体,Tyr-D-Met(O)-Gly-EtPhe-NHNHCOCH3・AcOH(EK-399)の弁別刺激効果に関与するオピオイド受容体のサブタイプを調べる目的で,ラットを用いた薬物弁別試験を行った.2レバー・オペラントボヅクスを用い,給水制限したラットに訓練薬または生理食塩液を皮下投与後,水を報酬として2つのレバーのうち正しいレバーを選択させる訓練を行った.訓練薬としてEK-399,morphine,ethylketocyclazocine(EKC)及びN-allylnormetazocine(NANM)を用いた.いずれの訓練薬においても,平均38-53セッション後にラットは安定した高い正選択率を示すようになった.90%以上の正選択率を示したラットを用い,naloxone拮抗試験を行ったところ,皮下投与したEK-399(1mg/kg),morphine(3mg/kg)及びEKC(0.3mg/kg)の弁別刺激効果は,それぞれnaloxoneの0.3,0.03及び0.3mg/kg(s.c.)によってほぼ完全に拮抗された.他方,NANM(3mg/kg)の弁別刺激効果はnaloxoneの10mg/kg(s.c.)をこよっても完全に拮抗されなかった.次に般化試験を行ったところ,EK-399の弁別刺激はμ-ナビオイド受容体のアゴニストであるmorphine(10mg/kg)及びbuprenor-phine(0.03mg/kg)に完全に般化し,κ-ナビオイド受容体のアゴニストであるEKC(0.1mg/kg)及びσ-受容体のアゴニストであるNANM(10mg/kg)には不完全にしか般化しなかった.一方,EK-399(0.1-3mg/kg)に対して,morphine及びEKCの弁別刺激は不完全にしか般化せず,NANMの弁別刺激は全く般化しなかった.以上の成績から,EK-399の弁別刺激効果の発現には,主にμ-オピオイド受容体を介した作用が関与していると考えられる.一方,morphineとEK-399との間に非対称的な般化がみられることから,一部δ-オピオイド受容体を介した作用が関与している可能性もある.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top