日本薬理学雑誌
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Rebamipide(OPC-12759)のラットおよびヒト胃粘膜防御作用についての検討
川野 淳佐藤 信紘鎌田 武信山崎 勝也今泉 隆米虫 節夫
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1991 年 97 巻 6 号 p. 371-380

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抄録

ラットおよびヒトにおいて0.15N HCl-40%ethanol誘発性急性胃粘膜病変に対するrebamipideの効果を検討した.その結果,(1)ラットでは,1)rebamipideは,腹腔内投与でH:Cl-ethanol誘発胃粘膜病変を用量依存的(10~300mg/kg,i.p.)に抑制し,特に30~300mg/kgでは有意な抑制効果が得られた(P<0.05).2)水素ガスクリアランス法による胃粘膜血流量は,rebamipide(10mg/kg/hr)の静脈内持続注入によって増加した.3)臓器反射スペクトル法により,rebamipide(10mg/kg,i.v.)はラット脱血時における胃粘膜血液量の低下を有意に抑制した(P<0.05).また,粘膜ヘモグロビン酸素飽和度の低下に対しては抑制傾向を示した.(2)ヒトにおいては,健常成人男子を対象にプラセボとrebamipide(300mg/日,7日間)との二重盲検交叉比較試験を実施した結果,rebamipideはヒトHCl-ethanol誘発性胃粘膜病変も抑制し,さらに,表層粘液細胞における粘液穎粒の減少および細胞間隙の拡張を有意に抑制した(P<0.05).以上の成績から,本剤がHCl-ethanol誘発性胃粘膜病変の発生を抑制し,その作用機序の1つに胃粘膜微小循環改善作用が関与していると考えられた.

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