日本薬理学雑誌
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Endotoxinによって生ずるB1-受容体を介した摘出ウサギ舌動脈の収縮反応
杉原 昌実塗々木 和男岡部 栄逸朗
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1991 年 98 巻 2 号 p. 63-71

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抄録

lipopolysaccharide(endotoxin,E.Coli;10μg/ml/body,i.v.)処置を施したウサギの摘出舌動脈標本を用い,B1-受容体アゴニストdes-Arg9-bradykininに対する反応性を検討した.endotoxin処置1,5,そして20時間後に摘出作成された血管標本には,その処置時間依存性のB1・受容体アゴニスト感受性収縮反応が出現した.この反応は,内皮細胞非依存性であった.endotoxin20時間処置動物から摘出作成した血管標本のB1-受容体アゴニスト感受性収縮は,B1・受容体アンタゴニストdes-Arg9-〔Leu8〕-bradykininによって抑制され,また,2種類のタンパク質合成阻害薬(cycloheximide,312μg/kg,i.v.;actinomycinD,80μg/kg,i.v.)をそれぞれendotoxin適用前に処置した動物の摘出血管を用いた場合でも抑制された.強いB2-受容体刺激作用をもつが,B1-受容体に対しては弱い刺激作用をもつbradykininは,血管標本をわずかに収縮させた.しかし,この作用はendotoxinの処置とは無関係に生ずるものであり,そして,用いたB1-受容体アンタゴニストによる抑制を受けなかった.実験の20時間前に生理的食塩溶液を処置した動物の摘出血管標本を予めendotoxinと1~5時間インキュベートした場合,des-Arg9-bradykininに対する反応性は,endotoxin,または血漿の存在とは独立したものであった.このことは,endotoxin全身処置でみられる舌動脈のB1-受容体アゴニスト感受性収縮の出現は,endotoxinの直接的作用,またはendotoxinと血漿関連因子との相互作用の結果ではないことを示唆する.したがって本研究で得られた結果から,endotoxinの全身処置は,cycloheximideあるいはactinomycin Dによって阻害されるタンパク質合成反応段階を介してB1-受容体の形成を誘導するという可能性が考えられ,そしてまた,des-Arg9-bradykininによるB1-受容体刺激がendotoxin全身処置動物の摘出舌動脈標本を収縮させることが示唆される.

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