日本薬理学雑誌
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高血圧自然発症ラット,SHRによるNaloxoneの血圧上昇作用に対する卵巣摘出の影響
増淵 美子熊井 俊夫田中 政巳渡辺 実赤池 真理平井 正直
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1991 年 98 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

SHR(WKY由来)雌雄,33(29~36)及び75(72~78)週齢を使用した.卵巣摘出は4週齢に実施,血圧は無麻酔下tail-cuff法で測定し,心拍数と共に記録した.naloxone(10mg/kg)をi.p.投与した.脳は,大脳皮質,海馬,視床・中脳,視床下部をGlowinski法で分取した.非摘出及び卵巣摘出の両群は,naloxone投与で収縮期血圧(BP)は有意上昇を示したが,naloxoneによる血圧反応率は卵巣摘出が非摘出に比し有意高値を示した.catecholamine(CA)はHPLC法で定量した.血漿中norepinephrine(NE)は,非摘出にnaloxone投与で有意変化はなかったが,卵巣摘出にnaloxone投与すると血漿,海馬,視床・中脳及び視床下部中では有意増加を示した.dopamineは,非摘出にnaloxone投与で血漿及び海馬中で有意増加を,一方,大脳皮質で有意減少を示したが,卵巣摘出にnaloxone投与で血漿中減少,海馬及び視床・中脳中では有意増加を示した.血圧とNEとの相関関係において,視床下部NEの増加時にBPが下降を示し,―方,nalo:xone投与でBP上昇時に視床下部NEが減少するという事実を見出した.以上の結果から,naloxone投与による血圧上昇時,視床下部NEは卵巣摘出によって有意増加することが示された.一方,雌の脳内においては,卵巣摘出によってestrogenが欠如すると内因性opioidsの上昇を来たし,この上昇によってCAの放出が抑制された.これに反して,卵巣摘出にnaloxoneを投与すると,内因性opioidsの作用はブロックされ,その結果,CA放出の抑制機序が解除され,CAの放出誘導の上昇を来すことが示唆された.

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