日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
Alminoprofenの尿酸塩誘発炎症に対する作用
前田 悦子藤吉 俊夫植松 利男
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 98 巻 6 号 p. 467-474

詳細
抄録

非ステロイド性抗炎症剤alminoprofen(AP)の尿酸塩誘発炎症に対する作用を,各種の実験的痛風モデルを用いて検討した.AP(3~30mg/kg,p.o.)は,尿酸塩誘発ラット足蹴浮腫を用量依存的に抑制した.AP(3~30mg/kg,p.o.)は,尿酸塩誘発ラット胸膜炎における浸出液の貯留,総白血球数とPGE2産生を用量依存的に減少させた.AP(0.3~10mg/kg,p.o.)は,尿酸塩誘発ラット関節炎症性痙痛に対し用量依存的な鎮痛作用を示した.AP(10-5~10-3M)は,10-4M以上で尿酸塩によるモルモット好中球からのβ-glucllronidaseの遊離を80%以上抑制した.AP(10-5~10-3M)は,尿酸塩によるモルモット好中球からのO2-の産生を抑制しなかった.AP(10-6~10-4M)は,尿酸塩誘発モルモット好中球由来の遊走因子による好中球自身の遊走を用量依存的に抑制した.AP(10-6~10-4M)は,尿酸塩によるラット腹腔内由来の白血球からのPGE2の産生を用量依存的に抑制した.以上の結果から,APは尿酸塩誘発炎症に対し,強い抗炎症・鎮痛作用を有すること,その作用機序としてPGE2の生合成阻害と白血球遊走抑制ならびに白血球からのライソゾーム酵素遊離抑制の複合的な薬理効果が示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top