日本薬理学雑誌
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マウスの移所運動促進効果からみたMethamphetamine反復投与による逆耐性現象とドパミンD2遮断薬Mosapramine(Y-516)の併用効果について
内橋 慶隆森本 敏彦田所 作太郎
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1992 年 99 巻 3 号 p. 153-160

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抄録

metllamphetamine(MAP)反復投与による逆耐性現象(増感現象)に対するmosapramine(Y-516)の併用効果にっいて,マウスの移所運動促進効果を指標として,clocapramine(CCP),bromperido1(BPD)およびchlorpromazine(CPZ)と比較検討した.Y-516(0.3,1.3,10mg/kg),CCP(3,10,30mg/kg),BPD(0.1,0.3,1.0mg/kg),CPZ(1,3,10mg/kg),および溶媒である0.5%methylcellulose(MC)のみをそれぞれ30分前に経口投与し,その後さらにMAP2mg/kgを皮下投与し3時間にわたって移所運動活性を観測した.各薬物の各用量投与の実験については3~4日間隔で5回繰り返し実施した.また最終投与3~4日後,MAP2mg/kgのみを投与し移所運動活性を観測した.0.5%MCとMAPの併用投与群では処置回数に比例して移所運動促進効果は増強し,逆耐性が形成された.これに対して,Y-516と比較薬前処置群ではMAPによる移所運動促進効果は用量依存的に拮抗された.しかし移所運動促進効果は,MCとMAPの併用群にくらべると抑制されてはいたが,反復投与によって徐々に増強し,逆耐性は完全に阻止されなかった.MAPの移所運動促進効果に対する抑制効果から推察されるY-516の効力は,CCPの4~5倍,BPDの0.07~0.1倍,CPZの1.2~1.8倍であった.最終投与3~4日後のMAPのみの投与実験においては,Y-5161~10mg/kg,CCP10と30mg/kg,BPD0.3と1mg/kg,およびCPZ1~10mg/kg反復併用投与群で,MC反復併用投与群にくらべ移所運動促進効果が有意に弱く,用量依存的に逆耐性の形成を抑制した.以上のことよりY-516は,比較薬と同様に併用投与した場合には,MAP逆耐性形成を抑制すると考えられた.

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