抄録
本論文は,日本独特の製造業者と部品供給業者の間の生産内示システムに関するモデル化を行ったものである.未達率指標にもとづき,先行需要情報(内示)を活用したマスカスタマイゼーション対応の生産計画モデルを提案する.従来に比べて,このモデルは,「各期の在庫は互いに相関がある」という前提で,不確実な需要に対して,確率制約と線形の生産制約を満足し,製造コストと在庫コストの合計の期待値を最小化する生産計画を求める非線形確率計画問題として定式化される.解を見つける手続きは,原問題を「緩和戦略」により,線形の部分問題を繰り返し解くことを基本としている.従来に比べて(1)厳密な未達率指標SOn,(2)厳密な未達率指標により近い上界値を与える指標SOn(ρmin),(3)従来の各期在庫が互いに独立したものと仮定した指標SOn(0)の3つの指標を組み込んでおり,その指標の性能解析を行った.数値実験から「SOnはSOn(0)に比べて7-20
%の在庫削減効果がある」ことが判明した.