日本顎関節学会雑誌
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原著
ヒト顎関節滑膜細胞におけるMMP-1およびMMP-3産生に対するTNF-αの影響
矢野 照雄小倉 直美河島 睦髙橋 康輔服部 俊夫渡邊 駿石上 大輔鈴木 麻由清水 一伊藤 耕近藤 壽郎
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2017 年 29 巻 2 号 p. 100-107

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抄録

目的:炎症性関節疾患における関節組織の破壊では,matrix metalloproteinase(MMP)が中心的役割を担っている。本研究では,培養顎関節滑膜細胞をTumor necrosis factor(TNF)-αで刺激したときのMMP-1,-3およびMMPの阻害因子であるTissue inhibitors of metalloproteinase(TIMP)の遺伝子発現,さらにMMP-1,および -3タンパク質産生について検討を行った。

方法:顎関節円板転位障害患者滑膜からout growth法で顎関節線維芽滑膜細胞(滑膜細胞)を得た。滑膜細胞にTNF-αを作用させ,microarray解析を行った。また,遺伝子発現はreal-time PCR法により,タンパク質量はELISA法で測定した。Pro-MMP-1の活性化はAPMAを用いた。

結果:滑膜細胞のmicroarray解析では,TNF-αによって発現上昇上位遺伝子中にMMP-1および -3を認めた。また,MMP-1および -3遺伝子は,TNF-α刺激により発現上昇した。一方,TIMP-1,-2および -3の遺伝子は恒常的に発現していた。滑膜細胞培養液のpro-MMP-1およびMMP-3のタンパク質量はTNF-α刺激によって増加した。次に,培養液中のactive-MMP-1を測定したところ,検出されなかった。APMA処理してpro-MMP-1をactive-MMP-1へと変換したところ,TNF-αを作用した細胞培養液でactive-MMP-1が検出された。

考察:TNF-α添加により,ヒト滑膜細胞の,MMP-1および -3の遺伝子発現および同タンパク質の産生は上昇した。産生されたMMP-1は潜在型であった。

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© 2017 一般社団法人 日本顎関節学会
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