2018 年 30 巻 1 号 p. 51-58
これまでに成長発育期における顎運動を長期縦断的に検討した疫学調査の報告はほとんどない。当科では2002年より10年間,新潟県内の某小学校および中学校において延べ7,378名の学童・生徒を対象に,顎関節症状について検診を行った。その資料(結果)を基に,学童期における開口量の変化と身長の関連(対象者382名),クリック音の発現状況および推移(対象者133名)について縦断的に検討し,以下の結果を得た。
1.開口量と身長の関係では,小学校4年生以上で男女とも身長が増加しても開口量の増大はほとんどなく,相関関係を認めなかった。
2.クリック音の初発年齢は,小学校低学年においても認められるものの,中学生で急増していた。
3.クリック音の継続性については,一過性が49.0%,2年以上の症状の継続が28.3%,症状の再発が18.9%にみられ,一過性であることが多いものの,継続と再発を合計すると同数程度になった。