2018 年 30 巻 1 号 p. 59-64
患者は初診時35歳の男性。30歳頃から皮膚の紅斑を認め,尋常性乾癬と診断された。1994年に両側顎関節痛および開口障害を主訴に東京医科歯科大学歯学部附属病院第一口腔外科を受診した。初診時の開口量は32 mmで,開口訓練を主体とした保存治療を行ったが,痛みのコントロールができず,両側顎関節円板切除術,下顎頭および関節結節形成術を実施した。術後39 mmまで開口量は改善したが,5年後には開口量が18 mmに減少,両側顎関節の骨性癒着を認めたため,両側顎関節授動術を実施した。術後は,17年にわたる開口訓練の継続と乾癬治療を並行し,顎運動機能は良好に維持している。