日本顎関節学会雑誌
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手術用針状関節鏡の開発 -2チャンネル外套管法による顎関節の鏡視下手術との関連について-
大西 正俊
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1989 年 1 巻 1 号 p. 209-216

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抄録

顎関節における関節鏡視下手術は, 関節内病変に対する新たな治療法としてその効果が期待される。鏡視下手術の術式としては鏡視後に行う盲目操作法のほかに有視下での操作法があげられる。有視下での鏡視操作には1チャンネル外套管の2部位穿刺法と2チャンネル外套管の1部位穿刺法があるが, 安全確実性の点では後者が有利である。しかしながら, 従来の針状関節鏡システムには2チャンネル外套管を装用しうるものがなく, 有視下操作がより円滑に行いうる手術用関節鏡の開発が望まれていた。
今回, われわれがオリンパス光学工業 (株) と共同開発した関節鏡 (SES-17TMJ) は鏡筒外径1.7mmでその特徴は外套管の外径2.0mm, 1チャンネルのものと, 外径3.8×2.0mm, 楕円形2チャンネルのものが同一関節鏡に交互に使用可能であり, 関節鏡検査はもとより, いずれの鏡視下手術も行いうる構造である。すなわち1チャンネル外套管で関節鏡視ののち鏡視下手術が必要と判断した時点で外套管を2チャンネルのものに交換することで, 前記の有視下での鏡視下手術がすべて可能になる。さらに手術器具の挿入が鏡筒と全く平行に行えることから, 手術器具の小型化が可能となり, 操作性が大幅に向上した。
以上の新たに開発した顎関節の診断用ならびに手術用関節鏡についてその概要を報告した。

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