日本顎関節学会雑誌
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アンケートによる関節リウマチ患者の顎関節の自覚症状に関する検討
畑 毅細田 超由良 晋也
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2007 年 19 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

関節リウマチ (RA) 患者に併存する顎関節の自覚症状をアンケート調査し, 特に顎関節痛に関連する臨床および臨床検査項目 (RAの罹病期間, ステージ, 治療法, 血清CRP値, 血清リウマトイド因子 (RF) 値, 治療薬剤) について検討した。
対象は, 腎臓・リウマチ内科に通院加療中のRA患者50名とした。男性は12名, 女性は38名, 平均年齢は58.3歳, I期が7名, II期が24名, III期が7名, IV期が12名, RA病悩期間は平均105か月, 全例とも抗リウマチ剤で治療されている。
10名 (20%) になんらかの顎関節の自覚症状を認めた。顎関節痛は8名 (16%), 開口障害は10%, 顎関節のこわばりは8%, 顎関節腫脹は4%にみられた。顎関節痛のVAS (0~100mm) は0~52mmに及んでいた。また顎関節障害度のVAS (0~100mm) は0~55mmに及んでいた。顎関節痛のあった8名の血清CRP値は平均値1.01mg/dl, 中央値0.68mg/dl (0.13~3.37mg/dl) で, 顎関節痛のない42名では平均値1.53mg/dl, 中央値1.24mg/dl (0~5.52mg/dl) であった。顎関節痛のあった8名の血清RF値は平均値41.8IU/ml, 中央値28.0IU/ml (0~132IU/ml), 顎関節痛のない42名では平均値159.0IU/ml, 中央値60.0IU/ml (0~1, 460IU/ml) であった。Mann-WhitneyのU検定の結果, 顎関節痛の有無によりCRP値やRF値に有意差はみられなかった。ロジスティック回帰分析の結果, 顎関節痛に関係する臨床および臨床検査項目因子はなかった。

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