日本顎関節学会雑誌
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顎関節症における関連症状についての臨床的観察
宮島 智房甲斐 貞子甲斐 裕之田代 英雄
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1992 年 4 巻 1 号 p. 107-121

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抄録

1987年から1990年に当科を初診した顎関節症患者488例について, 開口障害, 顎関節雑音, 顎関節部および咀嚼筋群の疼痛以外の症状 (以下, その他の症状とする) の, 顎関節症との関係について検討を行った。その他の症状は324例 (66.4%) に認められた。最も頻度の高かった症状は肩, 首のこりや痛みで, 次に片頭痛, 耳痛, 眼痛, 耳鳴, 耳閉感の順であった。発現頻度は女性は男性より高く, 咀嚼筋痛を伴う症例で高く, 20歳未満の症例で低かった。
90%以上の症例で顎関節症とその他の症状の症状側は一致しており, 顎関節症, その他の症状とも経過が追跡できた105例中90.5%の症例では両者の治療経過は平行していた。
その他の症状と顎関節症の症状側が一致しており, 治療経過における両者の症状の改善が平行する場合, その他の症状は顎関節症の関連症状であると思われた。
顎関節症患者100例を対象に行ったアンケート調査では, 先の調査と比較してその他の症状の頻度は高かった。したがって, 問診の段階で治療者がその他の症状を見逃し, 患者はその他の症状に関して自発的に申告しない可能性がある。このため, その他の症状に関しては, 顎関節症との関連の可能性についての認識をもちつつ十分な問診を行い, 顎関節症の治療経過のなかで, その他の症状について専門の科への受診の必要性を検討しつつ十分に経過を観察することが必要である。

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