1995 年 90 巻 8 号 p. 261-267
含鉄閃亜鉛鉱における“黄銅鉱病変”組織を再現するために,350及び300°Cで熱水同時沈殿実験を遂行した。分域構造を示す黄銅鉱病変組織が熱水運搬法を用いたいくつかの実験において認められ,この結果は同時沈殿機構が含鉄閃亜鉛鉱における同組織の生成にも関与していることを示している。反応生成物と類似した組成をもつ黄銅鉱病変組織は沖縄トラフや北フィジー海盆等の海洋底鉱床から産する含鉄閃亜鉛鉱鉱石中にみられ,そうした黄銅鉱病変組織が同時沈殿の過程を経て短期間に生じた可能性を示唆している。