岩鉱
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論説
北海道幌満岩体とニカンベツ岩体のかんらん岩中に観察される初期メルト発生過程
高橋 奈津子
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1997 年 92 巻 1 号 p. 1-24

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抄録

北海道,日高帯南部に位置する幌満岩体とニカンベツ岩体に産するメルト成分に枯渇していないレールゾライトには大別して4つのタイプの斜長石が出現する。産状,化学組成,また,岩石の温度履歴の解析から,それらの成因は低温の履歴をたどったため形成されたザクロ石を起源とするサブソリダスでの分解反応生成物と様々な条件下でのソリダスを切ったため生じた初期発生メルトから晶出したものである。すべてはサブソリダスの再平衡化を被っており,程度は異なるがその化学組成を変化させている。また,より高温の履歴を示すかんらん岩では小規模な割れ目にメルトが濃集したものやそれらが連結してネットワーク構造をつくってるものが観察され,その周囲ではメルト成分が枯渇しており,割れ目の周囲で効果的にメルトの分離が起こったことを示唆している。両岩体は同一マントルダイアピル起源で,冷たい周囲から熱い中心部にかけての断片であると考えられる。

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© 1997 日本鉱物科学会
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