抄録
筆者らは1970年合成diopside-CaFeALSiO6系において, Fe+3はdiopside構造の中で6配位位置と4配位の位置を占めることを報告した。これはFe+3とAL+3の構造中におけるorder-disorder現象である。高圧下ではorderingがすゝんで, Fe+3は6配位位置を多く占めるように予想される。
CaMgALSi2O6 5mol%の合成輝石をstarting materialとし, Mössbauer spectraによってFe+3のsiteを決定した。20kbで合成されたものは4配位位置のFe+3は,常圧下で合成されたものより減少し,さらに高圧下の25kbでは減少は顕著にあらわれる。高圧下で合成したものを空気中で再加熱すると,Fe+3はまた4配位位置を占めるものが増加する。このことはdiopside構造中の6配位位置と4配位位置のFe+3とAl+3のubstitutionがreversibleであることをしめしている。