抄録
日本,韓国,台湾はいずれもエネルギー自給率が極めて低く,化石燃料の大半を輸入に依存しているため,供給中断に備えた備蓄政策や代替供給手段の確保は重要な政策課題である.石油は100日分を超える国家備蓄を保有している一方,LNGは技術的・経済的制約から備蓄・在庫水準が1か月程度にとどまる.石油備蓄は多大な費用と数十年に及ぶ整備期間を要して構築されたが,LNG備蓄についても同等以上の負担を伴うことが想定され,近隣有事への即応には限界がある.三か国の燃料別発電量における石炭の割合は3~4割を占めるが,温暖化対策により今後休廃止予定の石炭火力が相当量存在する.この石炭火力能力を維持し,併せて石炭備蓄を拡充することで,LNG供給途絶時の代替能力確保が可能となる.