抄録
多様なコミュニケーションツールが普及し,地域・国境を超えた複数の教室を繋ぐ「テレコラボレーション」が言語学習に取り入れられるようになった(O'Dowd,2011)。それらの実践の多くは「真正な」言語活動の場の提供を目的とし,「繋がり」を持つことの意義が重視されがちである。しかし,単に繋がりを持つだけでは「意味のある対話」を実現することは難しい(Ware,2005)。本稿では,そのような批判を鑑み,米国の私立大学日本語3 年生コースと日本の私立大学教育学部異文化理解コースの履修生で協働実践された「異文化理解プロジェクト」(オンラインディスカッション)の分析結果を報告する。データとして参加者の投稿文,教室内での話し合いの録音,参加者のプロジェクトへの感想を収集し,脱構築的言語文化の視点(Kubota,2003)を枠組みとし,批判的談話分析(Fairclough,2003)の手法で分析を行なった。分析結果から,意味のある対話を実現するためには,「自己開示」「自己投資」が鍵となり,その過程を経ることで「意味の協働構築」が可能となることを論じる。