言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
論文
マレーシアの高等教育課程における日本語教育の現地化に向けて
日本人日本語教師にどのような役割が担えるのか
木村 かおり
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 14 巻 p. 104-127

詳細
抄録

日本語教育の現地化とは何か。本稿ではこれを現地の教師たちが互いを,また現地の日本語教育をエンパワーメントし合うことと捉えている。マレーシアの大学教員である筆者は,現地において日本語教師たちとエンパワーメントし合うために「何が必要なのか」「私に何ができるのか」を考え,クリティカル・アクションリサーチとしてB大学をめぐる社会的実践活動を繰り返し省察している。本稿では,現場の教師が求めているものと現状の矛盾を明らかにし,その矛盾の克服に私がどのような働きかけをしていたのかを活動理論を用いて分析し日本人教師の役割を探った。矛盾の克服には,「情報」や「同僚間の連携」を道具として,結びつきの実践を行うことが必要であること,たとえビジターという外国人教師であっても,日本人教師が現地の教師間の共同体の境界を越えた第3の共同体の同僚として教師間にノットワーキングを働きかける役割が担えることが確認できた。

著者関連情報
© 2016 by Association for Language and Cultural Education
前の記事 次の記事
feedback
Top