言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
論文
あるEPA介護福祉士候補者の介護観を形成することば
感情労働としての介護という視座から
藤原 京佳
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2019 年 17 巻 p. 214-233

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抄録

本研究では介護の仕事を「感情労働」とし,ことばに見出された意味を通してEPA介護福祉士候補者のアルファティさんがどのような介護観を形成しているのかを探った。調査は1年間の縦断的インタビューによって行い,そこから作成されたストーリーを通して意味を読み解いていった。アルファティさんが利用者との間で行った「ことば遊び」や「お母さん」ということばからは利用者と関係を築くことこそが自らの役割であるという介護観,「flexible」ということばから利用者の立場に立って考え,行動するという介護観が読み取れた。また,「人間関係」,「心の関係」,「信頼関係」という利用者と切り結ぶ「関係」には,介護の仕事に就く以前から貫かれた,他者とつながることへの強い熱意が表象されていた。アルファティさんの介護観の根底にあるのは,他者とつながるという個人史的な価値を維持し,利用者という他者との間に自らの役割を見出し,それを実践していくことだったといえる。

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