すでにベルギーでは秋の気配が始まっていた2019年9月3日,ベルギーのルーヴェン大学において,第一言語も勤務機関も異なる日本語教師5人が集まり,互いに仕事のことや日本語教師の専門性について語り合った。特にベルギーで言語教育の共通認識となっているCEFRについて,日本とベルギーがおかれている文脈の違いやCEFRの考え方,現場での受け入れ,また実際の授業の具体的な展開の様子などが話題にのぼった。日本語教師たちが,ぞれぞれ異なった現場,異なった対象者たちに向けて,その時に応じてことばの学習の場を作ることができるのが日本語教師の専門性であり,それには言語教育として何を目指しているのかといった理念やそれを実現するための多様なカードをもっていることが重要であるということが話し合われた。話はあちこちに飛び2時間半ほどの座談会であったが,本稿はそれを紙幅の範囲に収まるように編集したものである。