日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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原著
好酸球性食道炎の臨床像の検討
楠瀬 寛顕大原 秀一浜田 史朗北川 靖前川 浩樹小島 康弘阿部 基齋藤 晃弘半田 朋子仲程 純玉渕 泰史高橋 麗子
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2012 年 54 巻 10 号 p. 3399-3407

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抄録
好酸球性食道炎(EE)は,欧米においては報告例が漸増しつつあるが日本においてはいまだごく少数例のみの報告に過ぎない.今回食道生検にて確定診断(20個/HPF以上)された5例のEEの臨床像を中心に検討した.症例はすべて男性,年齢は20歳から61歳,主訴はつかえ感2例,心窩部痛1例で,2例は自制可の症状でドックにて発見された.内視鏡検査では,軽微な所見も含めれば,縦走溝100%,輪状溝80%,白色栓40%,粘膜の粗造白濁所見80%に認めた.末梢血好酸球は3例で上昇を認めた.治療はPPI 3例,ステロイド剤の局所療法1例で,うち経過観察可能であった3例は2カ月後には自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見ともに消失した.無治療で経過観察とした1例も6カ月後には内視鏡所見,食道生検とも異常所見は消失していた.本症の原因や長期予後に関しては,さらに症例を蓄積し長期的な経過観察が必要である.
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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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