2012 年 54 巻 12 号 p. 3804-3811
65歳男性.胃癌と左腎癌に対して胃全摘術・Roux-en Y再建,左腎摘術を受け,術後2年目に輸入脚症候群による敗血症性ショックを発症.Y脚が腎摘部に落ち込み狭窄しており,輸入脚症候群は慢性化し全身状態不良であった.輸入脚内のドレナージと栄養投与を目的に,経皮内視鏡的十二指腸瘻造設術(D-PED)を施行.ダブルバルーン内視鏡を用いてY脚吻合部を逆行し,十二指腸内に経胃瘻的腸用カテーテルを挿入.チューブ先端を輸出脚内に留置した.D-PED後は輸入脚の拡張は認めず,全身状態の改善が得られ,バイパス手術が可能になった.輸入脚症候群の治療にD-PEDを応用した症例の報告はなく,有効な手技と考えられる.