抄録
症例は53歳女性.2009年11月に分枝型IPMNに対して膵頭十二指腸切除術(SSPPD-IIA)を施行した.2011年6月(術後19カ月)のCTにて残膵主膵管の拡張と内部の淡い高吸収域を認め,IPMN再発と膵管空腸吻合部狭窄の鑑別を要した.同年7月に急性膵炎を発症し,プロトタイプシングルバルーン内視鏡(Short SBE)による吻合部の観察を試みたが同定困難であった.2012年2月の再検時には先端フードを装着し詳細に観察することで,狭窄した膵管空腸吻合部の同定が可能となった.バルーンによる吻合部の拡張術を施行したところ,白色の蛋白栓の流出を認め,主膵管内の透亮像も消失したため,再発は否定的と診断し経過観察継続中である.術後膵管空腸吻合部狭窄に対するバルーン内視鏡を用いたアプローチは比較的低侵襲であり,有用な方法の一つと考えられる.