日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
大腸カプセルup to date
藤田 朋紀 根本 大樹冨樫 一智勝木 伸一
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2018 年 60 巻 11 号 p. 2369-2376

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抄録

免疫学的便潜血反応検査が大腸癌のスクリーニング検査として国内外で行われ,精密検査として大腸内視鏡検査が行われる機会が増している.大腸カプセル内視鏡検査は,スクリーニング検査の一翼を担っている.大腸カプセル内視鏡検査は偶発症が少なく,大腸腫瘍性病変に対する6mm以上の大腸ポリープの感度は84〜94%,特異度は64〜88%と報告されており,大腸内視鏡検査とほぼ同等のポリープ検出率を有し,大腸CT検査より優れている可能性がある.一方で①本邦における保険診療は大腸内視鏡検査が困難な場合に限定されている,②医療費が比較的高額である,③腸管洗浄液の飲水量が多い,などの課題も残っており,広くは普及していない.しかし,2018年2月 日本カプセル内視鏡学会(JACE)推奨レジメンが決められるなど腸管洗浄液量の問題は克服されつつある.大腸内視鏡専門医が不足する現状を鑑みると,大腸カプセル内視鏡検査も大腸内視鏡検査や大腸CT検査と同様の基準で保険収載されることが望まれる.炎症性腸疾患におけるカプセル内視鏡検査の評価は定まっていないが,潰瘍性大腸炎においては大腸内視鏡検査より低侵襲なモダリティとして活動性を評価する役割が期待される.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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