GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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Integrating next-generation sequencing to endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP)-obtained biliary specimens improves the detection and management of patients with malignant bile duct strictures 1).
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2019 Volume 61 Issue 10 Pages 2430

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【目的】画像精度,CA19-9や病理学的診断の改善にもかかわらず,胆管狭窄における良悪性鑑別は困難である.近年,癌の早期発見やマネージメントにおける次世代シークエンス(NGS)の有用性が報告されているが,胆道系腫瘍に対しての有用性は確立していない.

【方法】胆管狭窄を呈した症例に対し,ERCPを施行した際に採取した検体を用いて28遺伝子を搭載したNGSパネル(BiliSeq)解析を行い前向きに検討した.血清CA19-9,病理学的診断,およびBiliSeq解析における診断能について252人の患者(57のtrainingと195のvalidations)の346検体を用いて検討した.

【結果】悪性胆道狭窄におけるBiliSeqの感度と特異度はそれぞれ73%と100%であった.血清CA19-9値と病理診断では,感度はそれぞれ76%と48%,特異度は69%と99%であった.BiliSeqと病理診断を併用することより,感度は83%に増加し,特異度は99%を保っていた.BiliSeqとの組み合わせは,悪性腫瘍の病理学的評価の感度を,胆管ブラッシングでは35%から77%に,胆管生検では52%から83%に改善した.原発性硬化性胆管炎(PSC)症例においては,病理診断では感度8%であったが,BiliSeqの感度は83%であった.また治療に関連するゲノム変異が20人(8%)に認められた.胆管癌の2人の患者にERBB2増幅がみられ,トラスツズマブベースの治療を受けたところ臨床画像上腫瘍の縮小が認められた.

【結論】BiliSeqと病理診断の併用は悪性胆管狭窄の診断率を向上した.中でも特にPSCにおいて有用であった.さらにBiliSeqは胆道癌の治療方針を決定する特異的遺伝子変異を検出した.

《解説》

胆道狭窄における良悪性鑑別診断は病理診断のみでは時に困難である.本研究はERCP時に採取した検体を用いてNGS検査を行うことで診断能が改善するか前向きに検討したものである.結果,通常の病理診断にNGS検査を組み合わせることにより診断能は有意に改善した.さらには抗がん剤治療方針を決定する上で重要な遺伝子変異の検出も可能で有り,胆道疾患における良悪性診断および治療方針決定においてNGS検査は有用な検査であることが示唆された.

文 献
  • 1.   Singhi  AD,  Nikiforova  MN,  Chennat  J et al. Integrating next-generation sequencing to endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP)-obtained biliary specimens improves the detection and management of patients with malignant bile duct strictures. Gut. 2019 Apr 10. pii:gutjnl-2018-317817.
 
© 2019 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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