GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2019 Volume 61 Issue 5 Pages 1170-1173

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概要

沿革・特徴など

1892年(明治25年)に毛呂病院が創立され,そこから百数十年の歴史を刻み,地域医療を中心に医療活動が行われている.1949年に育心療が創設され,1967年には毛呂病院光の家が開設された.1972年に埼玉医科大学が開学し,同年に埼玉医科大学附属病院として開設された.2004年には1,485床を有し,同年に埼玉医科大学病院と名称を変更した.2007年に包括的がんセンター,心臓病センター,救命救急センター,脳卒中センターで構成された国際医療センターとわかれ,現在,特定機能病院として970床を有し,高度医療技術に支えられた先進医療を提供し,教育病院として医学生,研修医,専攻医の教育を担い,地域の中核病院として対応している.1988年に埼玉医科大学短期大学が開設され,2006年に保健医療学部,2010年に大学院医学研究科・看護学研究科が開設された.

「Your Happiness is Our Happiness」をモットーとして患者さん第一の診療を実践している.基本理念として「当院は,すべての病める人に, 満足度の高い医療を行うよう努めます.」を掲げ,医療と福祉の理想郷造りを目指している.

組織

内視鏡センターは診療部門に属し,主に消化管内科と消化器内科・肝臓内科,消化器・一般外科,総合診療内科,呼吸器内科,小児外科が診療に携わっている.センター長は,消化管内科教授・診療部長の今枝博之が責任者として運営し,副センター長は消化器内科・肝臓内科准教授の今井幸紀が担当している.また,専従の看護師,看護助手,臨床工学技士,メディカルアシスタント,事務員が所属している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

以前は内視鏡検査治療センターの名称で通常の内視鏡検査室が3室(4台)と透視室1室の手狭なところで検査治療が行われていた.2016年3月に東館が開設され,その3階全体に移設された.総面積1,125m2とこれまでのスペースの2倍以上ととても広くなり,名称も内視鏡センターに変更となった.一般検査室が4室,処置・治療用の部屋が2室,治療用が1室,透視室が2室の計9室を有している.そのうち天井からのシールドが4室に装備されている.オリンパスの内視鏡システムを6室,富士フイルムの内視鏡システムを2室,一般検査室の1室をカプセル内視鏡用の部屋としている.カプセル内視鏡は同時に3つの検査が可能で,小腸カプセル内視鏡と大腸カプセル内視鏡に対応している.リカバリー室は男女別にわかれてそれぞれ4人ずつ対応が可能となっている.大腸内視鏡用の腸管洗浄液を服用する部屋と更衣室も男女別となっており,トイレも含めて男性側,女性側とわかれている.コントロールルームとカンファレンスルームには各部屋での内視鏡画像をモニターで観察することができるため,進行状況や急変時の把握に有用である.内視鏡レポートシステムも,2015年からNEXUSデジタル画像ファイリングシステムを使用して電子カルテと連動し,画像情報だけではなく,検査実施情報,洗浄履歴なども管理し,内視鏡機器の保全などにも留意している.

スタッフ

(2018年10月現在)

医   師:消化器内視鏡学会 指導医7名,消化器内視鏡学会 専門医7名,その他スタッフ32名

内視鏡技師:Ⅰ種3名,その他技師 臨床工学技士2名

看 護 師:常勤12名

事 務 職:4名

そ の 他:看護助手2名,MA1名

設備・備品

(2018年8月現在)

 

 

実績

(2017年1月~2017年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は,臨床研修指定病院であり,研修医全員が1-2カ月の期間ローテーションをしており,消化器疾患全般にわたり,診断・治療・緊急対応について上級医が指導している.希望者に対して指導者による内視鏡の基本的内容の説明のあとに,指導医の十分な監督下で,まずはシミュレーターを用いて上部消化管内視鏡スコープの操作に慣れたのちに,実際の上部消化管内視鏡検査(抜去時の観察から開始)の研修を行っている.また3年目以降の後期研修医は,上部消化管内視鏡検査の習得を目標として,指導医の監督下で,まずは観察における適切なスコープ操作,その後に挿入,正確な生検,さらに所見の記載を指導している.上部消化管内視鏡検査を500件修了したのち,単独での検査を許可している.大腸内視鏡検査についても,まずはコロノモデルを用いて挿入のトレーニングを行ったあとに,時間制限を設けて,指導医の監督下に手技の習得を行っている.適宜,コロナビゲーションシステムを使用した大腸内視鏡を施行することにより挿入中のスコープの形状を確認し,イメージトレーニングを活用している.上部消化管内視鏡および大腸内視鏡の習得状況に応じて,EUS やERCPなどの手技の習得を開始する.

内視鏡的止血術やイレウス管挿入といった緊急内視鏡治療は,早い段階での習得が望ましいとの考えから,リスクの少ない症例から,上級医の指導下に早い時期から習得を目指している.個々人の技量習得に応じて,上部および下部EMRの習得を開始し,最終的には,バルーン小腸内視鏡検査・治療,ESD,ERCP関連治療手技,消化管ステント留置,EUS-FNAなどの習得を目標としている.ESDに関しては,まず胃(前庭部)から開始し,徐々に胃中部,上部へと対象を広げ,その後は,食道,大腸もリスクの少ない症例から十分な指導体制のもとで開始する.

内視鏡カンファレンスを週1回,内科・外科カンファレンスを週1回定期的に開催している.

現状の問題点と今後

通常のスコープから経鼻内視鏡,拡大内視鏡,超拡大内視鏡,超音波内視鏡,処置用スコープ,コロナビゲーションシステム,レーザー内視鏡,ダブルバルーン内視鏡と多くのスコープやシステムをとりそろえ,さまざまな内視鏡検査,治療に対応が可能となっているが,指導できる指導医の数が不足しており,指導体制は十分とはいえない.また,検査室が広く,処置に十分なスペースを有しているが,患者待合室から検査室までの距離が長いため,待合室に患者誘導システムを導入している.ファイリングシステムと病理検査が連動していないため,電子カルテより病理検査をオーダーする必要があるため入力に手間がかかり,病理検査結果も内視鏡レポートと連動していないため,フィードバックが十分ではない.今後,電子カルテのバージョンアップに伴って改善されることが期待される.当院は夜間の緊急内視鏡が多く施行されているが,内視鏡専門の看護師が夜勤として毎日は勤務していないため,ERの看護師が対応することになるが,ERが多忙な場合には看護師の介助が困難な場合もみられている.今後,ERと内視鏡センターとの連携をより緊密にすることが望まれる.

今後,より一層の安心,安全でハイレベルの内視鏡診療を提供していくとともに,教育体制の向上を目指していきたいと考える.

 
© 2019 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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