2025 年 67 巻 11 号 p. 2330-2334
症例は76歳女性.近医でCSが施行され,S状結腸に巨大な有茎性ポリープを指摘された.当院で行ったCS・CT画像より腸重積の危険性を有する大腸脂肪腫と診断し,肛門から腫瘤が脱出するという自覚症状もあったことから,切除適応と判断した.腫瘍が大きく可動性もあったため筋層牽引を予測し,手技の安定性と安全性を考慮した上でESDを行った.ESDの術中所見より一部筋層牽引を認めたが,穿孔なく断端陰性で切除し得た.切除標本は60×48×55mm,核異型のない成熟脂肪組織で形成された脂肪腫であった.巨大な脂肪腫に対し,スネアでの絞扼や切離が困難な場合もある.また,本症例のように筋層牽引による穿孔リスクの懸念がある場合には,ESDでの切除が選択肢となり得る.