日本消化器内視鏡学会雑誌
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S状結腸と下行結腸に線状潰瘍をきたしたIschemic colitisの1例
岡村 正造河合 潔楠神 和男黒川 晋岡 勇二伊藤 庄三
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1980 年 22 巻 6 号 p. 831-839

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抄録
症例は68歳男性.既往に高血圧と2回のC.V.A.attackがあり,昭和52年来Aspirin等を服用中昭和54年5月急に左下腹部痛が出現し数時間後に新鮮血の下血を伴い緊急入院した.血圧は210/150mmHgで,左下腹部の圧痛以外は腹部所見無く,検査上白血球増多,CRP 3+,血清KとFeの低値以外は正常だった.便細菌検査は陰性でE.C.G.はLVH & strainを呈した.入院後下血は無く,また腹痛も数日で消失した.入院翌日の注腸X線下にS状結腸から下行結腸下部にかけて2条の縦走する線状潰蕩と下行結腸上部に同様の潰瘍を認め,皴壁集中と嚢状化の所見を伴っていた.1週後のSigmoidoscopyで30cm挿入部より縦走する赤色瘢痕と皺壁集申が観察され,その部の生検所見は非特異的な炎症細胞浸潤のみであった,発症後48日目の注腸X線検査では縦走する瘢痕がみられたが,嚢状化や狭窄などの腸管の変形は全く認めなかった.臨床経過及び所見と総合してlschemic colitisの,transient typeと考えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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