日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃結核のめずらしい3症例
―内視鏡的観察を中心に―
原田 一道横田 欽一相馬 光宏北川 隆北守 茂柴田 好梶 厳水島 和雄岡村 毅与志並木 正義
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1981 年 23 巻 7 号 p. 961-967_1

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抄録

 胃結核は稀な疾患であるが,われわれは最近の5年間に3例の胃結核を経験した. 第1例は46歳の男性で胃体上部後壁に不整形で,潰瘍底が凹凸不整の大きな潰瘍をみた.内視鏡直視下胃生検による組織像でラングハンス巨細胞と類上皮結節の所見を得,結核による潰瘍性病変と診断した. この病変にストレプトマイシン(SM100mg/ml)3~5mlの局注療法を行い,約3ヵ月後に潰瘍の疲痕をみた.第2例は67歳の男性で,胃前庭部にIIa+IIcの早期胃癌を,また胃体上部前壁に粘膜下腫瘍をみとめた.この腫瘍が術後の組織学的検討で結核性病変と診断し得た.第3例は66歳の女性で噴門直下に不整形の潰瘍性病変を伴う腫瘤があり,内視鏡直視下生検による組織学的所見から結核性病変と診断し,抗結核剤(PAS,KM,INAH)の投与と共にSMの局注療法を試みた.その結果約4ヵ月後に腫瘤はほぼ消失し,潰瘍性病変は瘢痕化した.胃結核が内科的治療で治癒した例は極めて稀で,抗結核剤の局注療法を試みたものは過去にないので報告する.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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