日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管出血に対する内視鏡的高張Na-Epinephrine液局注療法。
II―臨床応用の実際とその治療成績
平尾 雅紀小林 多加志升田 和比古山口 修史納田 幸一松浦 侯夫篠島 文隆仲 紘嗣河内 秀希佐藤 富士夫
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1982 年 24 巻 2 号 p. 234-243

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抄録

上部消化管出血に対して,内視鏡的高張Na-Epinephrine液局注療法を1978年10月より行なってきた.緊急内視鏡検査で出血中の47例に本療法を行なった.疾患として胃潰瘍28例,吻合部潰瘍6例,十二指腸潰瘍4例,胃手術後4例,胃癌3例,マロリーワイス症候群2例である.重篤な全身合併症の保有率は60%であった.出血時の血清Hematocrit値と輪血量の間に負の相関を示し,出血時のHematocrit値が判明すれば,その後の必要輸血量の推定が可能である.出血型分類として,動脈型,湧出型および凝血付着型とした.われわれは独自の止血効果判定規準を設定した.その止血効果は永久効果85.1%,一時的効果10.6%,無効4.3%であった.再出血対策として予防的HS-E局注療法を考案導入し,その治療成績の向上に努めている.以上より本療法は手技が簡単であり,薬剤,器機も高価なものを必要とせず,普遍性のある治療法と思われる.

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