日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸早期癌の内視鏡診断における拡大内視鏡検査の評価
五十嵐 正広広門 一孝大井田 正人勝又 伴栄岡部 治弥比企 能樹中 英男
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1984 年 26 巻 4 号 p. 503-513

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抄録
大腸早期癌の内視鏡診断における拡大観察の意義について,通常観察および注腸造影検査との比較により検討した.その結果,1)注腸造影検査における早期癌の存在診断は83%であった.一方,性状診断については,疑診例を含めても38%と低く,良性ポリープとの鑑別が困難であった.2)通常観察に生検を加えた場合の診断率は,m癌50%,sm癌67%であった.一方,拡大観察と生検を加えた場合では,m癌63%,特にsm癌は100%の診断率であった.3)拡大観察が最も有効であった病変の特徴は,無茎性ないし亜有茎性病変で大きさは10mm前後の比較的小さな病変の診断率が高かった.4)m癌は,拡大観察を行っても37%false negativeがあり,特に有茎性病変で15mm以上のものについては,診断が困難なことがある. 早期癌の拡大内視鏡観察は,注腸造影検査や通常の内視鏡検査に比較して,診断率が高く,有力な検査と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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