日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡像の客観的表示に関する研究(第1報)―色調の客観的表示を目的とした装置の開発とその性能について―
田中 三千雄若林 泰文坂東 毅七沢 洋本間 保稲土 修嗣野尻 裕之渋谷 隆窪田 芳樹島田 一彦藤倉 信一郎斎藤 清二佐々木 博加藤 弘巳土佐 寛龍村 俊樹麓 耕平
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1984 年 26 巻 4 号 p. 514-525_1

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抄録
内視鏡診断は内視鏡像の解析が何といっても基本となる.しかしながら内視鏡像の読みは,今日もなお主観的判断にもとずくところが大きい.このような状況を打破すべく,内視鏡像を客観的に表示する方法を試行することは今必要であると考えいくつかの観点からこの問題に対して検討を加えた. 最初にここに報告したのは,"色"の客観的表示に関するプロローグである.即ちこの目的に沿った内視鏡装置を開発し,その精度について基礎的な検討を加えたものである.本装置の特徴は(1)スコープでとらえた内視鏡像の一部分を分光色彩計で測定する.(2)測定中も測定部位を終始観察できる,(3)拡大内視鏡検査も兼ねることができる,などである. マンセル色票を対象とした検索によって,本装置は測定値の再現性,色(色相,明度,彩度)の識別能において秀れた精度をもっている事が明らかとなった.またカーソルの装備によって内視鏡の測定条件(距離角度,反射光)の一定化が可能であることも判明した. 以上の結果より,内視鏡像としてとらえた物体の色を分光色彩計によって客観的に表示することが可能であるとの結論を得た.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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