日本消化器内視鏡学会雑誌
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若年者十二指腸乳頭部癌の1例
長沢 貞夫上野 規男関 秀一田中 昌宏山中 桓夫酒井 秀朗木村 健笠原 小五郎金澤 暁太郎山口 隆子
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1984 年 26 巻 7 号 p. 1103-1110_1

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抄録

 症例は25歳の男性で,食欲不振及び全身倦怠感を主訴として当科(自治医科大学消化器内科)を受診した.尿,血液生化学的検査では,肝機能障害を認め,また尿中及び血中amylaseの上昇を認めた.ERCP施行時,内視鏡的に十二指腸乳頭部に中心部に小陥凹のある腫瘤を認め,生検の結果,印環細胞癌との組織診を得た.手術が施行されたが,腫瘍はVater乳頭部を中心として発育する,大きさが4×2.5×0.8cmの腫瘤型の病変であった.中心部に小陥凹が認められ,ここに共通管が開口していた. 最近10年間の本邦の文献から,413例の乳頭部癌の年齢別分布を調べた.本症例は25歳であるが,20歳代という若年者の乳頭部癌は非常に稀である.組織型が印環細胞癌である乳頭部癌も極めて稀である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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