日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡検査時における胃液pH値測定の意義(第1報)
松田 裕子大塚 理恵子伊藤 剛小川 郁夫佐藤 豊瀧原 道東加治 弘迫田 寛人竹本 寛松永 義則森 昭夫山岡 義生井上 潔
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1985 年 27 巻 11 号 p. 2287-2292

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抄録

 胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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