日本消化器内視鏡学会雑誌
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Wilson病の2例
―ICG静注併用下腹腔鏡所見―
今西 建夫山田 由美子大曲 勝久栗原 紳太郎森川 俊一西畑 伸二林田 研司三島 致衍村田 育夫牧山 和也原耕 平田中 義人
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1987 年 29 巻 9 号 p. 2061-2066_1

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抄録
Wilson病の2例に対し,ICG2.5mg/kg静注下に腹腔鏡検査を施行した.症例1は19歳の男性で,臨床病期DeissのIIB期に相当した.肝表面像は平滑で,左葉に一部凹凸不平で軽度ながら斑紋様の所見をみとめ,右葉辺縁にリンパ小水泡もみられた.ICG2.5mg/kg静注後に,斑紋部は濃緑色に着色し,明瞭になった.肝組織像は慢性活動性肝炎であった.症例2は21歳の女性で臨床病期IV期.肝表面像は粗大結節状で,結節の色調は淡青色を帯び,特有の所見を呈していた.ICG2.5mg/kg静注後は,結節と間質部のコントラストが強くなり,血管紋理や赤色紋理等がはっきり観察されるようになった.肝組織像は壊死後性肝硬変の像を呈していた. ICG大量静注後の所見としては,慢性肝炎や肝硬変の時に得られる所見と同様で,Wilson病に特有の変化はみられなかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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