日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸原発性反応性リンパ細網細胞増生の1例
林 義峰高山 敦伊藤 望
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1987 年 29 巻 9 号 p. 2069-2074_1

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抄録
十二指腸下行脚に原発した反応性リンパ細網細胞増生(RLH)の1例を経験した. 症例は64歳男性.心窩部から右季肋部にかけての不快感を主訴として当科受診し,内視鏡検査で十二指腸球部潰瘍と診断され入院となる.十二指腸球部潰瘍は経過良好であり,腹部症状も改善したが,入院3カ月後再び右季肋部の鈍痛が出現した.内視鏡検査ではVater乳頭対側にやや白色調を呈する表面凹凸不整な軟らかい隆起性病変を認めた.生検の結果,RLHが強く疑われたが,悪性リンパ腫との鑑別が困難であった.その1カ月後の内視鏡検査では病巣の拡大と多彩な色調変化がみられ,生検の結果,悪性リンパ腫と診断され,膵頭十二指腸切除術を行った.切除標本の病理組織診断はRLHであった. 十二指腸のRLHはきわめて稀な疾患であり,下行脚に存在するRLHは文献上の報告がなく本例が初めての報告と考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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