日本消化器内視鏡学会雑誌
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大量下血をきたした大腸微小粘膜欠損の1例
杉山 宏辻 孝加藤 昌彦熊原 正森下 博史若原 達男山田 重樹松村 幸次郎田中 千凱下地 昭昌加地 秀樹
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1987 年 29 巻 9 号 p. 2094-2099_1

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抄録
慢性関節リウマチ,敗血症の治療中に大量下血をきたしたため緊急手術を施行し,術中コロノスコピーにて発見された大腸微小粘膜欠損の1例を経験したので,文献的考察を加え報告した. 症例は63歳,男性で,昭和61年8月13日より暗赤色の下血が出現するようになったため輸液・輸血を行いながら経過観察していたが,下血量が3,200mlに及んだため,翌14日に緊急手術を施行した.開腹すると,結腸の肝彎曲部,脾彎曲部に大量の血液が貯留していたが,腫瘤や虚血性病変は認めなかった.術中コロノスコピーを施行したところ横行結腸右3の自由ヒモに相当する粘膜より血管が突出し,先端より拍動性に出血していたため,2×2cm大の大腸部分切除術を行った.病理組織学的には,Ul-Iの孤立性粘膜欠損があり,その部位より直径1mm,長さ3mmの血管が突出していた.粘膜下層を蛇行する太い異常血管は認められなかったが,Dieulafoy潰瘍に類似する疾患であると考えられた.
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