1995 年 37 巻 7 号 p. 1414-1421
表面型大腸腫瘍の客観的診断をする目的に正常大腸8例,表面隆起型大腸腫瘍34例(中等度異型腺腫12例,高度異型腺腫13例,癌9例)の実体顕微鏡像からピット・パターンを抽出して最大径・周囲長・面積・円形度・凹凸度のパラメータについて画像解析を行った.その結果,すべてのパラメータにおいて中等度異型腺腫と癌(p<0.05)に有意差を認め,さらに周囲長・凹凸度は高度異型腺腫と癌(p<0.05)に有意差を認めた.組織像の腺腔の画像解析では実体顕微鏡と組織像で有意な相関がみられ(円形度:n=30,r=0.605,p<0.01,凹凸度:n=30,r=0.447,p<0.05),実体顕微鏡像の解析は,組織像を反映していると考えられ,客観的診断の可能性が示唆された.また円形度・凹凸度は内視鏡の撮影距離に影響を受けないため,内視鏡像の画像解析への応用が期待された。