日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道癌性狭窄患者に対するUltraflex stent留置によるQOL改善効果について
田村 茂行岸 健太郎吉田 浩二松山 仁小林 研二
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2000 年 42 巻 12 号 p. 2249-2255

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抄録
 1996年7月より1998年12月に食道癌性狭窄患者13例に対し,Ultraflex stentを使用し有用性と合併症について検討した.全例で目的部位への挿入が可能で,挿入後1週間以上続く疼痛は2例,挿入3日目での発熱は肺炎を合併した1例のみに認められた.食事摂取量と摂取食種は肺炎を合併した2例以外で改善した.ステントの拡張力不足による狭窄が2例,腫瘍のingrowthが1例,食道気管支瘻が1例に認められたがstent in stentで対応した.経過中肺炎は8例に認められ,死因も肺炎が7例と半数を占めた.退院できたのは7例54%で,在宅治療移行率は十分とは言えなかったが,患者の満足が得れなかったのは重篤な合併症の3例のみであった.全症例の挿入後期間は中央値95日(13-428日)であった.QOL改善のためには,挿入時に合併症を起こさないこと,ステントの合併症に対しては迅速に対応すること,原疾患に対する治療を継続することが必要と思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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