日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の長期経過―当院における10年以上経過例を中心として―
小林 拓岡村 正造大橋 信治浦野 文博金森 信一細井 努内藤 岳人加古 訓之倉橋 正明瀬川 昂生
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2002 年 44 巻 11 号 p. 1972-1976

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抄録

〈背景〉 近年新たな治療法の開発に伴い潰瘍性大腸炎(以下UC)の長期予後が変化しつつあると推察される. 〈方法〉 当科受診歴のあるUC患者全246症例の長期経過について検討した. 〈結果〉 手術例は23例で,内科的治療困難例8例,癌合併7例の順に多かった.手術時経過年数は平均7.1年,癌合併例以外では4.6年であった.癌合併例は8例にみられた.死亡例は8例で平均55.3歳,7年以上経過した4例が他病死であった.10年以上経過例では,全体の71.7%が緩解状態にあった.また若年発症,病変の口側進展例で予後不良の傾向がみられた. 〈結論〉 UCは長期経過に伴い活動性が低下する傾向にあり,罹病期間の短い時期の手術・死亡が多いことかちも大腸癌のsurveillanceとともに病初期の管理の重要性が示唆された.

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