2002 年 44 巻 9 号 p. 1705-1709
症例は59歳男性.43歳の時に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,メサラジンの内服で緩解を維持していた.平成13年2月下旬より左側膝関節痛が出現し,左下肢のしびれも伴ったため精査目的で当院に入院となった.下部消化管内視鏡検査にてUCの増悪,骨シンチグラフィーで左膝関節及び足関節の異常集積があり,さらに左腓骨神経の運動神経伝導速度の遅延と同神経領域の知覚鈍麻を認めた.この関節痛及び下肢のしびれは,UCの腸管症状の改善に伴い軽快したため,これらの症状はUCの腸管外症状と考えられた.UCに関節炎と単神経炎を合併した稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.